悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。



 予定通り厩舎で馬を借りた。

 ルーカスの使用人であるということ、家族が急病であることを伝えると、ルーカスから……ではなく、ジョエル様から許可が降りた。その事実に胸を痛めながら、私は久しぶりに馬に乗って家に帰る。


 学院時代に乗馬はしていた。あれから八年も経ってしまったが、私の体は乗馬の仕方をしっかりと覚えている。

 だが、私を取り巻く環境や、ルーカスとの関係も変わってしまったことを思い知った。


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