悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「お嬢様、花祭りに参りましょう」
次の日の朝、睡眠不足の目を擦って私は家の扉を開けた。外にはルーカスがいて、いつもとは全然優しい顔で私を見つめている。
ルーカスの顔を見るだけで、胸がきゅんと甘い音を立てる。ルーカスを好きだと自覚した途端、ルーカスにのめり込み始めている自分がいる。
「セシリア、おはよう。約束通り、迎えに来た」
ルーカスは甘い声で告げ、私に手を差し出す。その手を握りたいのに、私は俯いて告げた。
「お誘い、ありがとう。でも、私は行けないわ」
私の言葉に、
「なぜだ? 」
ルーカスは少し焦ったように聞く。