悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「セシリア、せっかくルーカス様が迎えに来てくださったんだ。
お前もルーカス様が花祭りの準備を必死でされていたのは、知っているだろう? 」
「お、お兄様……」
私は顔を引き攣らせてお兄様を見た。
お兄様って、私の味方ではなかったの!?
いつの間に、ルーカスの味方になっているの!?
「い、行かないわよ」
ここで花祭りに行ってしまったら、計画も狂う。私はこのまま公爵邸に戻り、セリオとしてルーカスに仕える予定だ。そして、また相応しい令嬢探しをしなければ……
するの? いや、本心はしたくないことくらい、とっくに分かっている。だが、ルーカスを好きになった今、はやく諦めなきゃさらに泥沼にはまる。この恋の終着点は、別れしかないのだから。