悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


 なおもマッシュは喜んで、私の頬を舐め続けた。可愛いマッシュをぎゅっと抱きしめながら、寂しい思いをさせてごめんと心の中で謝る。


 ルーカスは、こんな私からマッシュをひょいと取り上げた。マッシュは名残惜しそうに私を見ているものの、ルーカスの腕の中で嬉しそうにしている。なんだかんだで、マッシュもルーカスに懐いているようだ。


 安心する私の頬を……ルーカスは不意にぺろっと舐めた。

「!!?? 」

 私は声のならない声を出し、ルーカスが舐めた箇所を手で押さえる。そして案の定、顔が真っ赤だ。

「な、何するのよ!? 」

 慌てて聞いた私に、ルーカスは熱っぽい瞳で告げる。

「こいつばっかりずるい」

「なっ、何それ!マッシュは犬なんだから!! 」

 大慌てしながらも、胸のドキドキが止まらない。ルーカスに会ってからずっと、胸が甘く痺れている。私の体、おかしい。

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