悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ルーカスは少し頬を染めて私を見た。そんな様子がいちいちツボにはまる。そして胸をきゅんと甘く鳴らせる。
そしてルーカスは、静かに告げた。
「下心がないと言ったら、嘘かもしれない。
でも俺は、セシリアの喜ぶ顔が見たいんだ」
……え?
「セシリアが隣で笑ってくれる。それだけで、俺は幸せなんだと思えるんだ」
「……やめてよ」
そんなことを言うのは、やめて欲しい。出まかせだったとしても、ますますルーカスに惹かれてしまうから。そして、その罠にまんまと引っかかってしまいそうだから。冷静に冷静にと言っている今でさえ、胸が暑くて苦しい。まるで、何かの病気みたいだ。