悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
彼に振り回されています


 ルーカスが入った部屋は、広くて大きな部屋だった。
 窓際に大きなデスクが置かれ、壁際には天井まで続く本棚が置かれている。部屋の手前には、革でできた豪華な応接セット。ここはルーカスの仕事部屋なのだろうか。

 ルーカスはすたすたとデスクに歩み寄り、椅子にどかっと腰かけた。そして私を睨みつつ命令をする。

「クソチビ、飲み物と菓子を持ってこい」

 ……はぁ!? 何この態度。信じられない。

 心の中でそう発しながらも、

「承知しました」

私は笑顔で頭を下げ、部屋を出る。そして廊下をドスドス歩きながらぼやいていた。


「失礼な!クソチビって何!?

 あんな変な男に罵られても、痛くも痒くもないの!」

 そして運良く給湯室を見つけ、ティーカップに紅茶を入れる。そこで、ふと乾燥させたカモミールやラベンダーが置いてあることに気付いた。

 ルーカスは気が立っているから、カモミールなんかを入れてリラックスするのがいいのかもしれない。ルーカスがリラックスしたら、私に対する攻撃も弱まるだろう。私は紅茶の中にカモミールを放り込んだ。

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