悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
もはや止めることが出来ないこの気持ち




 ルーカスは、惚れ薬によって、マリアナ様にベタ惚れしているのだろう。今まで私に注いでくれた愛を、全てマリアナ様に注ぐのだろう。マリアナ様と結婚して、幸せに暮らすのだろう。そのほうがルーカスにとってもいいと思うのに……

 心が悲鳴を上げ続けている。ルーカスの幸せを素直に喜べない私は、最低な女だ。



「おかえりなさい、ルーカス様。

 一緒に会場に戻りましょう? 」

 マリアナ様はルーカスの体をぎゅっと抱きしめる。それだけで、私の胸がズキズキと痛み続けるのだった。



 ルーカスとマリアナ様を見ている間にも、私は護衛にずるずると引き摺られていった。

 抵抗する気力もない私は、このままさらなる悪人となるのだろう。ルーカスに惚れ薬を飲ませたなどという、身に覚えのない罪を着せられて。

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