悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
変わっていく関係性





 夜が明け、私は鏡に映る自分を見ていた。  

 ショートカットのカツラに、眼鏡。いつもの使用人用のスーツを着ている。鏡に映る私は間違いなくセリオだが、今まで通りにルーカスと接することが出来るのだろうか。 

 私とルーカスの関係は変わってしまった。いけないと分かっているのに、後戻り出来ないところまで来てしまった。昨夜のルーカスを思い出すと、また体がぼっと熱を持つのだった。




 ドキドキしながら廊下を歩き、いつものルーカスの仕事部屋へと向かう。歩きながらも昨夜のことを思い出し、胸が熱く痛くなる。

 ルーカスの深い愛情に触れてしまった。そして、ルーカスは私を諦めるつもりはなさそうだ。私はルーカスが茨の道を歩むことを認め、ルーカスを受け入れるしかないのだろうか。

 こんなにも好きなのに……思い合っているのに……心から一緒になりたいと思えないのがとても辛い。この身分制度を憎んだ。


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