悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「俺が無理矢理抱いてしまったからだ。
一緒に眠っていたはずなのに、セシリアは俺の元から逃げ出したんだ……」
ここではっと我に返った。
私はセリオにならなければいけないため、朝早くルーカスのもとを去った。決して嫌いになった訳ではない。だが、何も知らないルーカスは、私が彼を嫌って逃げたと勘違いしてしまったのだ。
我ながら迂闊だった。だが、ここでルーカスに謝るわけにはいかない。
考え込む私と、普段の彼からは考えられないほど負のオーラを撒き散らしているルーカス。ルーカスはぼーっと私を見ながら上の空で告げた。
「お前がセシリアに見える……」
「!? 」
私が反射的に顔を背けた時だった。