悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「詳しくは分からないけど……
とりあえず俺は、一旦帰ろうと思う」
マルコスは焦ったように言う。そしてその後、衝撃的な言葉を吐いたのだ。
「セシリアはどうするんだ? 」
……は!? セシリア!?
背筋にゾゾーッと寒気が走った。
まさか、クソチビってセシリアに似ているのではなくて……
「私も帰るわ。
何が起こったのか、お父様やお母様から聞かなきゃいけないから」
クソチビ……いや、セシリアは言う。
「そうか。……万が一、状況がさらに悪くなったら……
セシリアは、ルーカス様との縁談はどうするんだ? 」
それに彼女は答えなかった。だが、切なげにぽつりと溢した。
「私はルーカスが好き。でも、私のせいでルーカスに迷惑をかけられないわ」