悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


「詳しくは分からないけど……
 とりあえず俺は、一旦帰ろうと思う」

 マルコスは焦ったように言う。そしてその後、衝撃的な言葉を吐いたのだ。

「セシリアはどうするんだ? 」


 ……は!? セシリア!?


 背筋にゾゾーッと寒気が走った。


 まさか、クソチビってセシリアに似ているのではなくて……


「私も帰るわ。

 何が起こったのか、お父様やお母様から聞かなきゃいけないから」

 クソチビ……いや、セシリアは言う。

「そうか。……万が一、状況がさらに悪くなったら……
 セシリアは、ルーカス様との縁談はどうするんだ? 」

 それに彼女は答えなかった。だが、切なげにぽつりと溢した。

「私はルーカスが好き。でも、私のせいでルーカスに迷惑をかけられないわ」

< 230 / 267 >

この作品をシェア

pagetop