悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ずっとずっと、愛してる
こうして、ルーカスがお父様の無罪を証明してくれ、私は晴れてルーカスの家に帰ることになった。
見慣れたトラスター家の扉を開けると、マッシュがきゃんきゃん鳴きながら駆け寄ってきた。私は思わずマッシュに駆け寄り、その小さな体を抱き上げる。
「マッシュ!元気にしてた?
昨日からマッシュの姿が見えなくて、心配してたのよ」
思わず言ってしまった私に、ルーカスがイラついたように教えてくれる。
「あの女が犬嫌いだからって、父がマッシュを閉じ込めていたんだ」
あの女というのは、マリアナ様だろう。ルーカスに惚れ薬を盛ったマリアナ様は、あの後どうなってしまったのだろう。
考え込む私に、ルーカスは告げる。
「誰よりもお前が可愛がってくれているのに、閉じ込めるとかあり得ないだろ」
その言葉に違和感を感じる。
私は確かにマッシュを可愛がっていた。……セシリアではなく、セリオが。
まさかルーカス、気付いているわけ……ないよね? 気付いていたら、あんなに酷い態度、取らないよね?