悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ずっとずっと、愛してる



 こうして、ルーカスがお父様の無罪を証明してくれ、私は晴れてルーカスの家に帰ることになった。



 見慣れたトラスター家の扉を開けると、マッシュがきゃんきゃん鳴きながら駆け寄ってきた。私は思わずマッシュに駆け寄り、その小さな体を抱き上げる。

「マッシュ!元気にしてた?

 昨日からマッシュの姿が見えなくて、心配してたのよ」

 思わず言ってしまった私に、ルーカスがイラついたように教えてくれる。

「あの女が犬嫌いだからって、父がマッシュを閉じ込めていたんだ」

 あの女というのは、マリアナ様だろう。ルーカスに惚れ薬を盛ったマリアナ様は、あの後どうなってしまったのだろう。

 考え込む私に、ルーカスは告げる。

「誰よりもお前が可愛がってくれているのに、閉じ込めるとかあり得ないだろ」

 その言葉に違和感を感じる。

 私は確かにマッシュを可愛がっていた。……セシリア()ではなく、セリオ()が。

 まさかルーカス、気付いているわけ……ないよね? 気付いていたら、あんなに酷い態度、取らないよね?


< 244 / 260 >

この作品をシェア

pagetop