悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「セシリア……」
甘く低い声で名前を呼ばれ、同時に指を絡められる。ルーカスに触れられるだけで、体を甘い戦慄が走る。
「改めて言う。
……結婚してくれ。
俺はお前のこと、一生大切にするから」
「……はい!! 」
私は満面の笑みで返事をしていた。すると、ルーカスはホッとしたような嬉しいような笑みを浮かべる。輝くようなルーカスの笑顔を見ると、頬が紅くなった。
こんな私に手を回し、唇を重ねるルーカス。
「愛してる」
彼は、切なげに吐き出す。
「セシリア、愛してる。
ずっとずっと、愛してる」
私は何をそんなに怖がっていたのだろう。
ルーカスは一癖も二癖もある男だが、その愛はいつも真っ直ぐだった。私はルーカスにこうも愛されて、本当に幸せだ。