悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ルーカスに抱きしめられ、何度もキスされているとふと思った。
ルーカスはこんなにも私に気持ちを伝えてくれているのに、私は何もしていない。今は、こんなにも好きが溢れているというのに。
唇を離してルーカスを見上げると、ルーカスは少し潤んだ瞳で私を見下ろした。形のいい碧眼に、すっと整った鼻筋。恋愛感情無しとしても、その美貌だけで赤面してしまいそうだ。そんなルーカスに、遠慮がちに告げた。
「私も……好きよ? 」
「……え!? 」
その顔が嬉しそうに歪む。
「ルーカスのこと……好きよ? 」
その瞬間、またぎゅっと抱きしめられ、甘いキスが降り注ぐ。
「悪い、セシリア……」
苦しそうに喘ぎながら、頬を紅潮させてルーカスは告げた。
「俺、止まりそうにない……」
その美貌にくらっとしつつ、胸をドキドキ言わせつつ、真っ直ぐなルーカスの言葉を嬉しくも思ってしまった。そして、私だってまたルーカスに触れたいと思ってしまう。
こうして私は、再びルーカスと甘い時間を過ごした。ルーカスの甘さに溺れつつ、僅かに残っていた理性の中で考えた。
ーー私たちの間には、隠し事はもうないんだ。