悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「まあまあマルコス、そんなこと言うな。
俺だってセシリアに嫌われないように、丸くなったんだから」
ルーカスは冗談っぽく告げる。だが、その冗談っぽい顔のまま、お兄様に告げたのだ。
「マルコス。お前は騎士として優秀だったけど、伯爵の仕事は騎士とはまた違う。
俺はお前の義弟として、何でも力になるからな」
「もったいないお言葉です。感謝いたします」
お兄様は頭を下げる。そんなお兄様に、ルーカスはまたまた面白そうに告げた。
「それと。お前とセシリアが手を組んで、俺を陥れようとしていたことも許してやろう。
こうやって、俺は無事にセシリアと結婚出来るからな」
お兄様と私は、顔を見合わせて苦笑いをしていた。
ルーカスは確かにセリオに酷い扱いをしたが、今ではそれを悔やんでいるらしい。新しく採用になった使用人のロイさんには、信じられないほど優しくしているのだから。