悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


 惜しげもなく発せられるその言葉に、私はドキドキしっぱなしだ。胸がきゅんと甘い音を立て、頬がにやついてしまう。

「明日からは夫婦になるんだから、一緒の寝室だ」

「そうね……」

 そうか。明日から、ルーカスと夫婦になるのか。まだ信じられない気持ちでいっぱいだが、これは夢ではない。

 私は好きになるはずがないと思っていたルーカスと恋に堕ち、今も日に日にルーカスに惹かれている。
 ルーカスの笑顔を見ると、心が温かくなる。胸がきゅんきゅん甘い音を立てる。今や四六時中彼のことを考えているほど、ルーカスが好きだ。



「ルーカス、大好き」

 ルーカスのようにまっすぐ気持ちをぶつけると、割れ物に触れるように優しく、だけどぎゅっときつく抱きしめられる。

 ルーカスが大好きだ。すごくすごく、愛している。


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