悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
次の日……
ルーカスと私の結婚式は、トラスター家近くの教会で盛大に行われた。
苦労に苦労を重ね、白髪になってしまったお父様の腕に手を添え、バージンロードを歩く。
教会の奥には、純白のスーツを着たルーカスが立っている。花嫁姿の私を見て、頬を染めて緊張しているように立っている。
一歩ずつルーカスに近付き至近距離まで辿り着くと、ルーカスは頬を染めたまま、泣きそうな顔で私を見下ろした。
「綺麗だ、セシリア」
彼は感慨深げに囁くが、このかっこいいルーカスに言われても説得力がない。ブロンドの髪を綺麗にセットして、純白のタキシードを着ているルーカスは、どこかの王子様かと見間違うほどだ。……さすが公爵家令息だ。
彼と同じように頬を染めて、恥ずかしくなって下を向いた私の手を、ルーカスはそっと握る。温かくて大きなその手に包まれて、幸せだと思った。大好きな人と結婚出来ることが、こんなにも幸せなんだ……ーーー