悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。



 厳かな挙式を終え、太陽が降り注ぐ外へと手を繋いで出た。人々が私たちを祝福し、拍手と花びらが舞い散った。

 ルーカスは私に身を寄せ、静かに囁いた。

「俺と結婚してくれて、ありがとう。

 愛してるよ、セシリア」

 まっすぐに告げられるその言葉が、嬉しく心地よい。

「私こそ、ありがとう」

 ルーカスに告げる。



 お父様を助けてくれて、ありがとう。

 私たち一家を助けてくれて、ありがとう。

 そして、私を好きでいてくれて、本当にありがとう。

 私はこうもルーカスに愛されて、世界で一番幸せだ。

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