悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
【番外編】変わっていく彼
ルーカスと結婚して1ヶ月。私は楽しくて刺激的な毎日を送っていた。
ルーカスはセリオが私だったということが、相当ショックだったらしい。人が変わったように丸くなった……とまではいかないが、随分と穏やかになったのは間違いなかった。
そして、あまりにもルーカスが穏やかだからか、館の人々はルーカスを見ると、見てはいけないものを見るようにそっと目を逸らすのだった。
私は、昼間はルーカスの補佐として仕事をしている。
ルーカスは好きに遊んだらいいと言っていたが、将来公爵夫人になる身として、色々学んでおきたかったからだ。もちろん、ルーカスはセリオに対してしていたような嫌がらせはせず、むしろ溺愛してくるのだ。仕事は仕事なのだから、毅然とした態度を取ってくれたほうがまだマシだった。