悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


 確かに果物の売れ行きが落ちているが、ルーカス自ら視察に行くの!? その他にも、やらなきゃいけないことはたくさんあるだろうし……


 考え込む私に、

「現場に行って、実際に見て感じるのも大切だ。そして、それが領主の努めだ」

ルーカスは告げる。

 こんなルーカスを、内心すごいと思ってしまった。どんな些細なことでも、気になったら自分から積極的に動く。ルーカスなら、公爵になっても立派に努めを果たすことが出来るだろう。

「ロイ、北部の領主館に、俺たちが数日宿泊するように言っておけ」

「は、はい!! で、ですが……領主館の連絡先は……」

 ロイさんが青ざめて聞く。ロイさんが色々知らないのは当然だ。だって、この館に来て、数ヶ月しか経っていないのだから。

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