悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ルーカスが私に求婚したのも、私を守るためだと言うのだろうか。私は薄々気付き始めていた。ルーカスは最低な男だが、セシリアに対してはすごく優しく正義感溢れていることに。
セシリアと結婚すれば、必ずルーカスの評判も落ちるだろう。だが、それすら気にせず、必死にセシリアを守ることを考えている。
……なんて健気なのだろう。
こんなルーカスの存在が、少しずつ私の心の安心になり始めているのも事実だった。
「なあ、クソチビ」
ルーカスは書類を手に持って目を通しながら、私に言う。
「俺がどうしてセシリアに惚れたのか、教えてやろうか? 」
私は思わず頷いていた。