悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


「そしてまたある日、俺は興味もない令嬢に告白されていた。どうせ俺の家の爵位を狙って、幼い頃から取り押さえにかかっていたのだろう。
 そいつは、あまりにもしつこかった。

 そろそろ嫌気がさした時、セシリアが教室に現れて助けてくれた。するとその令嬢は顔を真っ赤にして逃げていった」


 きっと、偶然居合わせただけだ。私は助けるつもりなんてなかっただろうし、その記憶すらもない。

 確かにルーカスはその容姿と家柄からモテていることは知っていたし、それ故に近付きたくもなかったのだ。


「セシリアはこうやって度々俺を助けてくれた。

 きっと、セシリアは俺のことが好きなんだろう」

 その勘違いぶりに、思わず吹き出しそうになった。


 ちょっと待ってよ。
 私がルーカスを好きだった……!?
  ないない!絶対にないから!


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