悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。




 急に決まった舞踏会の準備は、すぐに始まった。もちろんルーカスが乗り気でないため、ジョエル様が中心となって計画してくれているようだ。

 廊下でジョエル様とすれ違うと、

「セリオさん、舞踏会上手くいくといいね」

なんて、優しい言葉をかけてくれる。

「はい!」

 私は笑顔でジョエル様に言う。

「ルーカス様が、相応しい令嬢を見つけられることを祈っています」


 このまま、ルーカスにセシリア()に惚れていることや、セシリア()のいいところばかりを話されると、私の頭がおかしくなってしまいそうだ。
 ルーカスには絶対に惚れたくないのに、惚れてしまう可能性だってある。だから、ルーカスには早く相応しい女性を見つけてもらうに限る。

< 53 / 267 >

この作品をシェア

pagetop