悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
急に決まった舞踏会の準備は、すぐに始まった。もちろんルーカスが乗り気でないため、ジョエル様が中心となって計画してくれているようだ。
廊下でジョエル様とすれ違うと、
「セリオさん、舞踏会上手くいくといいね」
なんて、優しい言葉をかけてくれる。
「はい!」
私は笑顔でジョエル様に言う。
「ルーカス様が、相応しい令嬢を見つけられることを祈っています」
このまま、ルーカスにセシリアに惚れていることや、セシリアのいいところばかりを話されると、私の頭がおかしくなってしまいそうだ。
ルーカスには絶対に惚れたくないのに、惚れてしまう可能性だってある。だから、ルーカスには早く相応しい女性を見つけてもらうに限る。