悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


「ジョエル様も、いいお相手が見つかればいいなと思っております。

 ジョエル様、私に出来ることがあれば何でも言ってください!」

 深々と頭を下げる私に、

「ありがとう。君が力になってくれて助かるよ」

ジョエル様は笑顔で告げて去っていった。私はそんなジョエル様の後ろ姿を笑顔で見送っていたのだが……




「おい、クソチビ」

 後ろから禍々しい声で呼ばれて、ビクッと飛び上がる。恐る恐る振り返ると、いつの間にかイラついた顔のルーカスがいる。

「る、ルーカス様!も、申し訳ありません」

 必死で頭を下げるが、それでルーカスの怒りが治まるはずもない。

「お前、いつの間にそんなにジョエルと仲良くなってんだ?

 俺の使用人なのに、どうしてジョエルのほうが親しげなんだ? 」

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