悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


 そう言うルーカスは、鬼のような顔で私を睨んでいる。もしかしてこれは……

「嫉妬ですか? 」

 思わず聞いてしまうと、

「馬鹿野郎!! 」

怒号が続く。

 嫉妬ではなかったとしても、このパワハラ的態度にはうんざりだ。そして、やっぱり嫌いだと思ってしまう。私がジョエル様に心を開いているのも、ルーカスがこんなにめちゃくちゃで冷たい人だからだ。ルーカスには分かって欲しいが、分かるはずもないだろう。


「誰がテメェに嫉妬なんてするか」

 ルーカスはイラついたように続ける。

「それに……お前はなぜそんなにも、舞踏会に向けて張り切っているんだ? 」

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