悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「そうか」
ルーカスは、そう言って嫌な笑みを浮かべて私を見た。
「お前はそんなちんちくりんだから、結婚する気もないのだろう。恋だってしたことがないのだろう。
だからお前は、俺の気持ちだって分からないのだ」
申し訳ないが、ルーカスの気持ちは分からない。私の言動がルーカスを傷つけてしまったのかなとも思う。だが、お互いのためにも、私たちは結婚しないのがいいのだと強く思う。
本当に、舞踏会でいい令嬢に出会って欲しい。そして願わくば、その令嬢も、このめちゃくちゃなルーカスを受け入れることが出来ますよう。