悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。

「ルーカス様も、舞踏会ではやくいい女性を見つけて欲しいです」

 ぼやく私に、人々は言う。

「ルーカス様も相手を見つけたら、おとなしくなられるかもね」

「相手が見つかればだけど」

 そう言って、私たちは笑う。



 父親が爵位を剥奪されてから、私たち一家は孤独な日々を過ごしていた。街に行けば噂され、後ろ指をさされてしまう。だから必要時以外は、森の外れの家で人目につかないように生活をしていた。だからこうやって、人々に関わるのは久しぶりだ。

 そして皆は私がセシリアだとは知らないから、変な目で見ることもなく話してくれる。それが何だか嬉しかった。

 ルーカスのおもりは大変だが、こうやって人と関わるのは楽しい。意外とこの仕事が好きかもしれないと思ってしまうのだった。


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