悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
気付くと、ホールにはいい香りが立ち込めている。どうやら料理が次々に出来上がっているらしい。
私は、女性の好きそうなタルトやパスタを、わざとルーカスの近くに配置する。そして、令嬢たちに声をかける。
「料理が出来上がりました。よろしければ、お取りいたしましょうか? 」
そしてタルトやパスタを次々に取り分けた。
「ルーカス様のお近くの席が空いています」
なんて、ルーカスの周りに次々に令嬢を送りながら。
それでもルーカスは無視をし続けている。本当に興味がないのだろうか。それとも、やけになって興味がないふりをしているのだろうか。そしてあまりにもルーカスが女性に関わろうとしないため、私は暴挙に出た。
「ルーカス様、ご歓談中失礼します。
……ご令嬢たちも、ルーカス様と話されたいのではないでしょうか? 」