悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。




 ルーカスから離れて一息ついた私。胸は相変わらずドキドキとうるさい。こんな私を呼んだのは、久しぶりに会うお兄様だった。


「セリオ、やってるな」

 お兄様は笑いながら言う。そんなお兄様、公爵家騎士の服を着て、とてもかっこいい。私が妹ではなかったら、惚れるかもしれない。

「調子はどう?

 その様子だと、ルーカス様と上手くやってるみたいだな」

「は? 上手くやっていないって!! 」

 私は思わず大声を出す。そして周りの視線を感じて、慌てて口を塞いだ。

 いけないいけない、私は今使用人だし、騎士とこんなにも親しげに話してもいいのだろうか。

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