悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


「公爵ご令息のルーカス様がまたトラブルを起こしてね。それで俺たちはトラブルの後始末で大変だったんだよ」


 何を隠そう、お兄様はトラスター公爵家の騎士をしている。今や平民のお兄様だが、トラスター公爵家では上手くやっているのだろう。そして、ルーカスのタイムリーな話題に、思わず飛び上がりそうになってしまったのは言うまでもない。


 私は平静を装って聞く。

「ルーカス様……どんなトラブルを起こしたの? 」

 すると、お兄様は疲れた顔で教えてくれたのだ。

「ルーカス様は、とある侯爵令嬢との縁談を断ったらしい。すると、その令嬢の兄が乗り込んできてね……

 ルーカス様もおとなしくしていればいいのに、兄と殴り合いの騒ぎになってしまって……」

「そうなの……」

 私は額に手を当てて、ため息をついていた。


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