悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
お兄様がシャワールームから私を締め出して、令嬢と致していたことにはショックを隠せない。だが、ルーカスのこのキャラ変には、さらにショックを隠せない。
これ以上ルーカスといると、私がおかしくなってしまいそうだ。私はルーカスと、シャワールームで致したりなんて、死んでもしたくない。
「セシリア。室内は騒がしいから、少し外でも歩かないか? 」
ルーカスは静かに告げる。
ルーカスと二人きり!? それは避けたい。
このホールにはたくさんの人がいるため、ルーカスも変なことはしてこない。だが、二人きりになった瞬間、襲われるのではないかと思ってしまう。普段のルーカスを知っているからこそ、尚更だ。
「そうね。……でも、やっぱり私、帰らなきゃ」
必死で逃げようとする私の手を、ルーカスはぎゅっと掴む。不意に優しく掴まれるものだから、また私の鼓動はドキドキと速くなる。