悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「君が良ければ、今夜はうちに泊まってもいい」
「いや、それは絶対にないでしょう!」
どぎまぎして答えた。
ルーカスはやはり、その気なのだ。隙さえあれば、私に手を出すつもりなのだ。だけど私は絶対に嫌だ。これ以上ルーカスに惹かれると、のめり込んでしまいそうで怖い……
「セシリア。花祭りが近付いているから、館の庭園も花でいっぱいなんだ。
今はまだ五分咲きだけど、花祭りの頃には満開になる」
私は逃げようとするのに、ルーカスがそっと肩を抱いて歩く。それで逃げることも出来ず、ルーカスの言う通りホールから庭園へと出た。