悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ルーカスの素直な言葉が、ぐいぐい胸を抉る。そして、ルーカスから目が離せなくなる。
ルーカスのその綺麗な目鼻立ちに見惚れてしまうだけでなく、その必死で優しげな声だとか、甘い瞳だとか、全てに狂わされっぱなしだ。
これ以上ルーカスといたら、身が持たない……
「セシリア……」
低く甘い声で名前が呼ばれる。そして髪に触れていた手は、いつの間にか私の両肩を優しく、だがしっかりと掴んでいる。
「好きだ、セシリア……」
その澄んだ瞳から、目が離せなくなる。
「俺と結婚してくれ」
すがるように切ない声で告げ、ルーカスはそっと唇を重ねる。私の気持ちだって伝えていないのに。結婚出来ないと言おうとしたのに。