悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
ルーカスは頬を紅潮させて私を見ている。そして、低い声で静かに言った。
「俺だって初めてだ」
「それなのに、随分慣れているのね」
ルーカスは嘘でもついているのだろうか。
ルーカスのことだから、嘘ということも十分あり得る。私を落とすためなら、ありとあらゆる手段を使ってきそうだ。ルーカスはそういう人だということを忘れていた。
ルーカスは頬を染めたまま、口元を歪めて告げる。
「初めてだが、イメージトレーニングはよくしている」
「……はぁッ!? 」
「指南書もよく読んでいる」
「あぁッ!! それ以上もう言わないで!」
私は真っ赤になって顔を覆った。
もう……ルーカスの変態!! ルーカスと結婚だなんてことになったら、早々と私の処女は奪われるのだろう。その指南書に沿って。やっぱり無理だ。