凄腕な年下外科医の容赦ない溺愛に双子ママは抗えない【極上スパダリ兄弟シリーズ】

でも、自分の心には嘘をつけない。やっぱり……ひとりは寂しい。
　私だって、誰かに強く求められたい。熱く愛されたい――。
　グイッとカクテルを一気に飲み干し、また店員に同じものを頼んだ。これで三杯目。お酒は決して強くないのに、今日に限って酔えない。悔しいくらい頭はクリアだ。
　こういう時だけどうして酔わないの？
「さすがに三杯飲んだら酔うわよね」
　カクテルを見つめると、ゆっくりと口に運ぶ。甘いはずのカクテルも今夜は苦く感じた。
　私って……一生処女のまま死んでいくのかしら。
　自分の身体に自信がなくて、大学時代の彼氏には付き合って一カ月経っても、身体を許すことができなかった。だから浮気されたのだろう。
　誰にも愛されない人生。
「私の運命の人はどこにもいないのかも。虚しい……な」
　小さく呟いて、ボーッと夜景を眺めていたら、ボストンフレームのメガネをかけた三十代くらいの男性に声をかけられた。
「なあ、一緒に飲まないか？」
　恐らく親友の結婚式に出席していた新郎の友人のひとりだろう。なんとなく見覚えがある。
「もう部屋に戻るので」
　椅子から立ち上がろうとしたら、男性が馴れ馴れしく私の肩を押さえつけてきた。
「いいから、いいから」
　親しげに肩を触られ、ゾゾッと総毛立つ。軟派な男性に嫌悪感があるからか、触れられるとたまにこうして鳥肌が立つことがあるのだ。昔彼氏に振られた後遺症かもしれない。元彼は誰にでも優しくて、女の子と距離を詰めるのがうまかった。
「さ、触らないで」
　男性の手を振り払おうとすると、その男性が横に座り、今度は私の膝に手を置いてきた。
「や、やめて……」
　男性を睨みつけて抗議したら、「男を待ってたんだろう？」と太ももに嫌らしく触れてくる。
　怖くて身体が硬直し、椅子から立ち上がることもできなかった。