彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜
ぎゃははっと笑いながら私への批判は続いた。
途中から、もう私の耳には届かなかった。
身体が勝手に自己防衛したのか、何も聞こえなくなったのだ。

どのくらいの時間が経ったのかは、わからない。
きっと数分しか経っていないだろうが、私にはとても長く感じた。
彼女たちがようやく出ていくような雰囲気を感じた。


「私、及川さんが結婚していたこと地味にショック~」

「わかる~」


声が少し遠くなり、大笑いしながら同期たちが出て行くのがわかった。
その瞬間、私の手の甲には涙がボトボトと落ちていく。


「ヴッ・・・ふっふぇ」


口を押さえるが息が荒くなり、過呼吸気味になった。


(もう恋愛なんか、しない……)
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