彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜
「いいの。私にはこのリーガル様がいるから」
そう言って私はアクスタを愛でた。
麗依にアクスタを取り上げられる。
「あ……」
「まったくいい加減、現実の男に恋しなさいよね」
私は数年前からとある乙女ゲームにハマっている。
「でも『愛君』を教えてくれたのは麗依でしょ」
私があまりにも及川さんのことで凹んでいるので、麗依はたくさん出会いの場に連れ出してくれた。
「男を忘れるには男よ」
でも色んな男性に会う度に私は及川さんと比べて凹んだ。
そんな時に麗依がハマっている乙女ゲームを教えてくれたのだ。
『愛している…君を』というスマホの乙女ゲームだ。
「愛の言葉をたくさん囁いてくれるから肌が潤うわよ」
麗依に無理矢理、登録され何気なく始めた乙女ゲーム。
私はそこに出てくるリーガル様に本気で恋をしている。
「あれは友人に紹介するとエピソードが読めるチケット10枚もらえたから教えただけなのに」
「そうだったの!?」
衝撃の事実にのけ反りそうになったが、私はこの乙女ゲームのおかげで今でも生きていけていると本気で思っている。
彼との恋愛を楽しんでいると及川さんのことを忘れられると気が付いたのは6年前。
それから夜、思い出しそうになると乙女ゲームを開けるようになった。
1年で全てのキャラをコンプリートした。
かなり課金したが満足度は高かった。
ちなみにリーガル様はもう何週目に入ったかわからない。
「なんで、そのキャラだけそんなにハマったんだろう」
「しばらくしてからボイスがついたんだよ」
「そうなの!?それは知らなかった」
「麗依はすぐ飽きてからね」
「はははっ」
「なんかね、声がね、予想を超えていてね。すごくセクシーでドキドキしたの」
「ふーん。聞かせてよ」
私はスマホで『愛君』を起動して1番、好きなセリフを聞かせた。
『君のことを心から愛している。俺は何処にも行かない。安心して腕の中にいるといい』
「くっさっ!」
「ちょっと!麗依があんなにハマってたゲーム!」
「今、思うとハマっていた理由がわからないわ。現実でこんなこと言う男いないよ。目を覚まして」
「いいの!それよりどう!?声、よくない?」
「まあ、確かになんかエロい声だよね」
「そうなの!」
「なんつーか、腰に響く声って言うの?」
「そうそうそう!さすが!わかってくれるじゃない!」
私は麗依が共感してくれたことが嬉しくて思わずデレデレした顔になる。
「まったくしまりのない顔ね」
麗依は呆れていた。
「これ、声優だれ?」
「それがわからないの」
「書いてあるでしょ」
「この人だけないんだよね。ネットで調べたら、この声優って顔も名前もすべて出してないんだって。ただ昔、流行ったアニメの主人公と声が似てるからその人じゃないかって言われてるよ。でも、その時も名前も顔も出してないんだよね。だから絶対同じ人だと思う」
「ふーん」
麗依はすでに興味を失っていた。
私はこのキャラクターに恋をしている。
だから現実の恋愛はいらないのだ。
仕事をしてリーガル様と恋愛して、それでいい。
それで私の人生は充実している。
そう思っていたのに……神様は意地悪だ。
そう言って私はアクスタを愛でた。
麗依にアクスタを取り上げられる。
「あ……」
「まったくいい加減、現実の男に恋しなさいよね」
私は数年前からとある乙女ゲームにハマっている。
「でも『愛君』を教えてくれたのは麗依でしょ」
私があまりにも及川さんのことで凹んでいるので、麗依はたくさん出会いの場に連れ出してくれた。
「男を忘れるには男よ」
でも色んな男性に会う度に私は及川さんと比べて凹んだ。
そんな時に麗依がハマっている乙女ゲームを教えてくれたのだ。
『愛している…君を』というスマホの乙女ゲームだ。
「愛の言葉をたくさん囁いてくれるから肌が潤うわよ」
麗依に無理矢理、登録され何気なく始めた乙女ゲーム。
私はそこに出てくるリーガル様に本気で恋をしている。
「あれは友人に紹介するとエピソードが読めるチケット10枚もらえたから教えただけなのに」
「そうだったの!?」
衝撃の事実にのけ反りそうになったが、私はこの乙女ゲームのおかげで今でも生きていけていると本気で思っている。
彼との恋愛を楽しんでいると及川さんのことを忘れられると気が付いたのは6年前。
それから夜、思い出しそうになると乙女ゲームを開けるようになった。
1年で全てのキャラをコンプリートした。
かなり課金したが満足度は高かった。
ちなみにリーガル様はもう何週目に入ったかわからない。
「なんで、そのキャラだけそんなにハマったんだろう」
「しばらくしてからボイスがついたんだよ」
「そうなの!?それは知らなかった」
「麗依はすぐ飽きてからね」
「はははっ」
「なんかね、声がね、予想を超えていてね。すごくセクシーでドキドキしたの」
「ふーん。聞かせてよ」
私はスマホで『愛君』を起動して1番、好きなセリフを聞かせた。
『君のことを心から愛している。俺は何処にも行かない。安心して腕の中にいるといい』
「くっさっ!」
「ちょっと!麗依があんなにハマってたゲーム!」
「今、思うとハマっていた理由がわからないわ。現実でこんなこと言う男いないよ。目を覚まして」
「いいの!それよりどう!?声、よくない?」
「まあ、確かになんかエロい声だよね」
「そうなの!」
「なんつーか、腰に響く声って言うの?」
「そうそうそう!さすが!わかってくれるじゃない!」
私は麗依が共感してくれたことが嬉しくて思わずデレデレした顔になる。
「まったくしまりのない顔ね」
麗依は呆れていた。
「これ、声優だれ?」
「それがわからないの」
「書いてあるでしょ」
「この人だけないんだよね。ネットで調べたら、この声優って顔も名前もすべて出してないんだって。ただ昔、流行ったアニメの主人公と声が似てるからその人じゃないかって言われてるよ。でも、その時も名前も顔も出してないんだよね。だから絶対同じ人だと思う」
「ふーん」
麗依はすでに興味を失っていた。
私はこのキャラクターに恋をしている。
だから現実の恋愛はいらないのだ。
仕事をしてリーガル様と恋愛して、それでいい。
それで私の人生は充実している。
そう思っていたのに……神様は意地悪だ。