彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜

プロローグ

数ヶ月前

ここは華やかなテレビの世界の中枢、テレビ局の中だ。


私、市原歩美はここで働いて今年で入社7年目の29歳。


当初、私には夢があった。
その夢を叶える為、テレビ局に入社したのだ。
しかし今は、その夢を諦めている。




私の職場は3階にあった。
3階ではあるが、周りから地下部署と言われていた。
ここでは私を含めて5人が働いている。


私は毎日、大量の本やビデオテープ、そして積み上げられたファイルに囲まれている。

日々増える莫大なデータをパソコンにわけて、それ以上にある紙の資料をファイリングしているのだ。


ここは24時間空いているテレビ局内のライブラリー。

毎日のようにスタッフが資料を探しに出入りする。

過去の映像だったり、ヘリコプターからの空撮映像など。

番組内で少しだけ使用する際、わざわざ撮影せずに済む。

それはこのライブラリーから持ち出し使用するからだ。

演出通りの必要な映像を主にADたちが探す。

私の仕事は映像を必要としている人たちが検索しやすいようにデータ化することだ。



今でこそ、この仕事が好きで、やりがいを持っているが、新卒で入社した時は違った。


私は情報番組のディレクターになるのが夢だったのだ。
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