彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜
驚いた。

まだ心臓がバクバクしている。

耳にまで心臓の音が響いて震えた。

「あゆちゃん?」

「わっ!」

急に声をかけられて驚く。

そこに立っていたのは桃子さんだ。

「どうしたの?何かあった?」

「聞いてください!リーガル様がいたんです!」

「は?」

ちょうどお昼に行く予定だと言うので一緒に行くことになった。

「それってあゆちゃんの机にあるキーホルダー?」

「そうです!」

職場の人たちは私の机の上にそのグッズがいくつか並べてあるのを知っているので何かがあるという認識はある。

「声優さんがいたってこと?」

「そうなんです!絶対にそう!でも、その人、顔出しも名前も出してないんで本人かはわからないんです」

「でもゲームの収録なんてうちでやるかな?番宣?」

「あ…そうか」

興奮して失念していたが、確かになんで、乙女ゲームの声優がテレビ局にいるのだろうか。

「他の番組のナレーションとかですかね」

「ああ、なるほど。それはあるかもね」

本当に本人なのだろうか。

ただ声が似ている人なのかもしれない。

それに二言聞いただけだ。

「もしかしたら、ただ似てる人かも…あ、でも『俺の声に聞き覚えがあるの?』って聞かれた」

私はそのあとのことも思い出して顔がかぁっと熱くなった。

「ちょっと~?エレベーターで何されたのよww おフェイスが真っ赤よ」

「何もされてませんよ!」
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