彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜

やっぱりあの人は……

数週間後、私の元に衝撃の知らせが届いた。

それは登録してある『愛君』のファンクラブからのお知らせ。
『アニメ化』の文字。

私のスマホは震えで揺れる。


「どうしよう。愛国がアニメ化!」

「マジ?私、先見の目あるな」

「それより、放送局見て」

「‼」

「やっぱり、私がエレベーターで一緒になった人……」

「マジか」

コーヒーがドリップされるまでの間の麗依とのメッセージのやり取りだ。


「ちょっと!ちょっと!あゆちゃん!」

そこで慌てた様子で桃子さんがやってきた。

「これ見て!」

それは『愛君』のポスターだ。

「ど、どどどど、どうしたんですか、これ!」

「今、そこで壁に貼っている人がいて、一つ拝借してきたわ。返すけど」


私はポスターを見てリーガル様の絵の横を見る。

「やっぱり、キャラクターボイス書いてない」

他のキャラクターの下には小さく『CV:名前』が載っているのに、リーガル様のところは何も書かれていなかった。

「やっぱしエレベーターで会ったのは、その人だったのよ」

桃子さんがどこぞの名探偵のような雰囲気を醸し出す。

「ああ!自分が悔やまれる!緊張して何も聞けなかった!」

「でも、まだチャンスはあるわよ」

桃子さんがポスターの端を指さす。

「ん?」

そこには何と特別副音声の文字が。

「副音声!?」
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