彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜
休憩時間に私はテレビ局の公式で発表されている『愛君』の詳細情報をくまなく読んだ。

ちなみに今日も名探偵、桃子さんとランチが一緒である。


「放送に合わせてキャラクターたちが副音声で話すらしいですね」

「その収録はここで撮るらしいわよ」

「え!?どこ情報ですか、それ!」

「私の同期の後輩が担当するんですって」

「おお!!」


桃子さんがそれを聞いてくれていたのが、嬉しい。


「あゆちゃん!これは再会するチャンスよ」

「でも……ファンですって言って嫌われたら。それに顔出しをNGにしているくらいだし」

「想像してる人であってるって言われたんでしょ?自分からバラしてるんだから大丈夫よ」

「そ、そうかな」


再び会えるところを想像するだけでドキドキしてしまう。



そして、この数週間後。

副音声の収録の日時を桃子さんが調べてくれて私は再び25階のスタジオにいた。

これは職権乱用というやつではないだろうか。

急に怖気づいてしまう。

やっぱりよくない。

そう思って引き返そうと思った時、人とぶつかって倒れてしまった。

「す、すみません!」

「あれ?君」

ハッとして心臓が止まりそうだった。

顔を上げるとそこにはリーガル様!!!の中の人。

綺麗な顔が再び私の前に現れたのだ。

「この前、エレベーターで一緒になった子だよね?」

「お、覚えててくれたんですか?」

するとニコッと笑顔になるリーガル様……の中の人。

彼は私の手を取り、起こしてくれた。

思わずパッと離れる。

「あ、ありがとうございます」

「君はここのスタッフなの?」

「あ、私は3階で働いてて」

「ふーん。そうなんだ」

そういうと彼は気が付いた時は私の耳に口元を持っていっていた。

「じゃあ、何でここにいるの? もしかして、俺のストーカーとか?」

そういうと彼は私から離れてスタジオの中に入っていった。

私はその場からしばらく動けなかった。
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