彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜

7年前

その夢が断たれたのは入社1年目のことだった。


私は入社してすぐ、当時、上司だった15歳年上の男性とお付き合いを始めた。

彼の名前は及川良太(おいかわりょうた)
私が初めて付き合った相手だ。

その時は寝ても覚めても及川さんのことで頭がいっぱいだった。

恋は盲目というが、当時の私は彼のほんの一部しか知らないのに彼が運命の相手で、これから先、彼のような人には出会えないだろうと本気で思っていた。

本物の愛なんか知らないくせに「愛してる」と何度も囁いた。

ちなみに彼から同じ言葉が返ってきたことは1度もない。


及川さんは若手プロデューサーとして期待されている人だった。

毎日、忙しい日々を送っていて、会えるのは深夜だけ。

0時すぎに彼はやってくる。

親友の麗依に話すと『逆シンデレラボーイ』とあだ名をつけられた。


最初こそ、食事に行ったりもしていたが、1ヶ月が経った頃には、ほとんど私の家かホテルで会うのが当たり前になった。

及川さんの家には行ったことはない。

それどころか、何処に住んでいるのかも知らなかった。

今なら都合の良い女だったのがよくわかる。

笑えるほどだ。



そんな私たちの関係を麗依が疑い始めた頃。

当時、ADだった私は同期の与田さんと城田さんと食堂で昼食とっていた。


すると突然、頭上から氷水が大量に降ってきたのだ。

何かのドッキリかと思った。
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