彼は意地悪なボイスアクター〜独占欲の強い彼に溺愛され狂いそうです〜
私は何を言われているのか、わからず動揺して声が出ない。
そんな私の様子を見て、那原さんは鼻で笑った。


「冗談に決まってんじゃん」


私は鯉のように口をパクパクして、反撃が送れた。


「まあ、コーヒーでも飲んで。はい、これ朝食」


そう言うと那原さんはコンビニの袋を目の前に置いた。
中にはサンドイッチとおにぎりが数個入っている。


「俺、仕事だから、あと数分で出ないといけないんだけど。ゆっくりしてって良いよ」

「いえ!私も出ます!」


時計を見ると私も出勤時間が迫っていた。


「やばい!」


私はせっかくだからコーヒーを飲もうとしたが、熱くて舌を火傷した。


「あちっ」

「ちょっと落ち着きなよ」

「すみません。もう出ます」


私は荷物を車に置いていたのを思い出した。


「テレビ局まで送ってく、一緒に出よう」
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