『Special Edition③』
茜は不安げな顔で医師に尋ねた。
妊娠は可能でも、無事に出産できる可能性が低くなるなら今のうちに対処しておくべきだと思ったからだ。
「子宮筋腫は、薬物療法で成長を止めることはできません。対処療法になります。妊娠後のリスクを考えると、小さいうちに手術で取っておくことをお勧めしますが、筋腫があっても妊娠は可能ですし、無事に出産している方も多いです」
「……」
「ただ、妊娠初期から中期にかけて、筋腫が大きくなりやすいということは念頭に入れておいて下さい」
「……はい」
「痛みがある、経血量が極端に多いなどの症状があるなら、早めに治療をお勧めします」
「痛み……。昔から生理痛が酷くて、量も多い方です」
「それはお辛いですよね」
茜は隣りに座る白杜に視線を一瞬向け、再び長田医師を見据えた。
「手術する場合は、このクリニックでして貰えるのでしょうか?」
「はい、勿論可能ですよ。ご夫婦で一度話し合われて、その上で手術をご希望であれば、またご来院下さい」
「……はい」
「金井さん、子宮鏡関連の資料をお渡しして」
「はい」
金井看護師は小さく頷いた。
「他にご質問はありますか?」
「……いえ。ありがとうございました」
「お気をつけてお帰り下さいね」
診察室を出た二人は、隣りの処置室で子宮鏡手術の説明を受けた。
子宮筋腫の位置が子宮の外側に位置していることと、筋腫自体の大きさが比較的まだ小さいこともあって、手術を受けても避妊する必要は殆どないという。
最悪の事態を想定していた茜は、一連の説明を受け、漸く息ができた気がした。