『Special Edition③』
*
「白杜さん、私なるべく早くに手術を受けます」
「……先生も言ってたけど、筋腫があっても妊娠できるし、出産もできるって」
「そうかもしれませんが、例え赤ちゃんを授かれなくたとしても、毎月あるあの痛みをどうにかできるなら、手術したいです」
「……あぁ」
茜の生理痛が酷いのは白杜も熟知している。
初めて二人で旅行に行った長野の時から、毎月のように生理が来ると血の気のない顔でぐったりしている彼女を目の当たりにして来た。
チーフパーサー(CP)という立場上、簡単にシフト変更もままならない。
クリニックを後にし、国道1号線を品川方面に南下している車内。
茜は運転する白杜の方に体を少し向け、落ち着きのある声音で語りかける。
「手術することで、妊娠率が上がる可能性があるとも言ってましたし、流産や早産のリスクを少しでも減らせるなら一石三鳥じゃないですか」
「……怖くないのか?手術だぞ?」
「毎日のように、空の上で仕事してるんですよ?一度飛んでしまえば、自由に降りることはできません。乗客の命を預かると同時に、『死』も覚悟の上で仕事をしてますから」
「……そうだったな」
肝が据わっているというか、既に覚悟を決めた茜の表情は、白杜がどうこう言って考えが変わる様子はなさそうだ。
「とんだクリスマスイブになったな」
「……そうですか?癌が見つかっただとか、妊娠不可能だと言われたわけじゃないんですから、検査を受けて結果オーライだと思いましょうよ」
「……ハハッ、本当にどっちが年上か、分からないな」
子宮筋腫は女性の70%くらいの人が発病するらしい。
だから、早期に発見できたことに感謝すべきで、悲観するレベルではないと茜は捉えていた。
「白杜さん、私なるべく早くに手術を受けます」
「……先生も言ってたけど、筋腫があっても妊娠できるし、出産もできるって」
「そうかもしれませんが、例え赤ちゃんを授かれなくたとしても、毎月あるあの痛みをどうにかできるなら、手術したいです」
「……あぁ」
茜の生理痛が酷いのは白杜も熟知している。
初めて二人で旅行に行った長野の時から、毎月のように生理が来ると血の気のない顔でぐったりしている彼女を目の当たりにして来た。
チーフパーサー(CP)という立場上、簡単にシフト変更もままならない。
クリニックを後にし、国道1号線を品川方面に南下している車内。
茜は運転する白杜の方に体を少し向け、落ち着きのある声音で語りかける。
「手術することで、妊娠率が上がる可能性があるとも言ってましたし、流産や早産のリスクを少しでも減らせるなら一石三鳥じゃないですか」
「……怖くないのか?手術だぞ?」
「毎日のように、空の上で仕事してるんですよ?一度飛んでしまえば、自由に降りることはできません。乗客の命を預かると同時に、『死』も覚悟の上で仕事をしてますから」
「……そうだったな」
肝が据わっているというか、既に覚悟を決めた茜の表情は、白杜がどうこう言って考えが変わる様子はなさそうだ。
「とんだクリスマスイブになったな」
「……そうですか?癌が見つかっただとか、妊娠不可能だと言われたわけじゃないんですから、検査を受けて結果オーライだと思いましょうよ」
「……ハハッ、本当にどっちが年上か、分からないな」
子宮筋腫は女性の70%くらいの人が発病するらしい。
だから、早期に発見できたことに感謝すべきで、悲観するレベルではないと茜は捉えていた。