『Special Edition③』
「でね」
「ん?」
「双子なの」
「えっ?!」
「だから、今まで以上に秋名家のチェックが凄まじくて」
「……大丈夫なの?ストレスが一番よくないんじゃない?」
「まぁ、そこはのらりくらりかわしてるけどね~~」
アハハハッと笑い飛ばす千奈は、すっかり秋名家の嫁だ。
私だったら『重い』と精神的に病みそうだけど、千奈は寂しがり屋だからこれくらいがちょうどいいのかも。
*
「茜の所にも隆から招待状来たでしょ?」
「来た来た」
「ビックリだよね」
「……妊婦にこんな事聞いていいのか分からないけど、大丈夫なんだよね?」
「ん?……うん。私が幸せであるように、隆にも幸せになって貰いたいからね。ちゃんと祝福しなくちゃ」
数日前に高校時代からの友人・萩原 隆から、結婚式の招待状が届いた。
千奈が今年の春に結婚し、私もその後すぐに入籍した。
もう一人の仲のいい友人・渡瀬 佑人は今、仕事でニューヨーク在住。
去年の9月上旬に逗子に行って以来、4人が揃うことはなかった。
「佑人も来るよね」
「と、思うよ」
「茜こそ、大丈夫なの?」
「私は平気だよ。あれから何回かメールも貰ってるし」
「そうなの?」
「佑人の方が気を遣ってるかもしれないけど」
「……そうだよね」
私の結婚式に佑人と隆も招待したけど、結局二人とも欠席だった。
千奈が結婚してすぐだったのもあるし、相手が矢吹先生というのもあって、お互いに気持ちを切り替える時間が足りなかったのかもしれない。