『Special Edition③』

「でね」
「ん?」
「双子なの」
「えっ?!」
「だから、今まで以上に秋名(あきな)家のチェックが凄まじくて」
「……大丈夫なの?ストレスが一番よくないんじゃない?」
「まぁ、そこはのらりくらりかわしてるけどね~~」

 アハハハッと笑い飛ばす千奈は、すっかり秋名家の嫁だ。
 私だったら『重い』と精神的に病みそうだけど、千奈は寂しがり屋だからこれくらいがちょうどいいのかも。



「茜の所にも隆から招待状来たでしょ?」
「来た来た」
「ビックリだよね」
「……妊婦にこんな事聞いていいのか分からないけど、大丈夫なんだよね?」
「ん?……うん。私が幸せであるように、隆にも幸せになって貰いたいからね。ちゃんと祝福しなくちゃ」

 数日前に高校時代からの友人・萩原(はぎわら) (たかし)から、結婚式の招待状が届いた。

 千奈が今年の春に結婚し、私もその後すぐに入籍した。
 もう一人の仲のいい友人・渡瀬(わたせ) 佑人(ゆうと)は今、仕事でニューヨーク在住。
 去年の9月上旬に逗子に行って以来、4人が揃うことはなかった。

「佑人も来るよね」
「と、思うよ」
「茜こそ、大丈夫なの?」
「私は平気だよ。あれから何回かメールも貰ってるし」
「そうなの?」
「佑人の方が気を遣ってるかもしれないけど」
「……そうだよね」

 私の結婚式に佑人と隆も招待したけど、結局二人とも欠席だった。
 千奈が結婚してすぐだったのもあるし、相手が矢吹先生というのもあって、お互いに気持ちを切り替える時間が足りなかったのかもしれない。

< 4 / 64 >

この作品をシェア

pagetop