『Special Edition③』
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「泊っていく気か?」
「さすがに今日は帰るけど、ちょっとだけ上がってもいいでしょ?」
「……それは構わないけど」

 自宅へと送り届けるために指示を出した仁を制止し、小春はマンションに向かうようにお願いした。
 組の人が運転する車で、5分ほどのドライブ。

「すっかりクリスマス気分だよな」
「もう2週間切ってるしね」

 今日は12月12日。
 再来週にはクリスマスがやって来る。

 街路樹に施されたイルミネーションが綺麗にライトアップされている。
 後部座席から眺める景色に見惚れていると、膝の上に置いてる手に彼の手が重なった。

 ここ半月、殆どお触りもさせてあげなかったから、ちょっと甘えてるのかも。
 誕生日だしね。
 今日くらいは大目にみてあげるか。

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「えっ、何これ……」
「ちょっと頑張って飾ってみた」
「いつの間に。言ってくれれば手伝ったのに」
「驚かせたかったから、一人でコツコツ頑張ったの」

 サプライズ大成功!

 リビングにもみの木を置いて、オーナメントを頑張って飾り付けた。
 その他にもアロマキャンドルとかクッションカバーとかもクリスマスカラーにしてみた。
 嬉しそうに部屋を見回す彼を横目に、キッチンへと。

「じゃーん、19歳のお誕生日おめでとう!」
「え……あぁ、俺の誕生日か」
「本当に忘れてたんだ」
「もう嬉しい歳じゃねーだろ」
「見た目は整形?実は39歳くらいなんじゃないの?」
「ぁあ゛?……オッサンって言いたいのかよ」

 コートも脱がず、どちらからともなくプッと吹き出す。
 誕生日は特別な日だと思ってたけど、仁くんと一緒なら毎日が特別だよ。



~FIN~

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