『Special Edition③』

「冬の時期の結婚式って、何を着てったらいいの?」
「千奈は妊婦さんなんだから、冷えない服が大前提だよ!」
「それもそうだね」

 隆の結婚式は2月中旬。
 今が12月中旬だから、3カ月後。

「その頃にはお腹も大きくなってるだろうし、マタニティウェアのサイトで検索するのがいいと思う。きっとフォーマルなものもあるよ」
「そうだね」

 注文したパスタが運ばれて来て、それを食べながら『結婚祝い』は何にしようか?という話題になった。

 千奈の結婚式の時は3人から、千奈が好きなブランドの食器のセットをプレゼントした。
 私の時は、千奈からはペアパジャマ。
 佑人と隆からは最新の圧力鍋をプレゼントして貰った。

 相手の女性がどんな人なのかも分からないから、何をプレゼントしていいのかすら思い浮かばない。
 千奈とスマホで検索し、無難なものを幾つかリストアップする。

「どんな女性(ひと)だろうね」
「隆は昔から可愛い系が好きだったよね」
「……そうだね」

 隆がずっと千奈を好きだったことを、千奈は知らない。

 千奈が知っている隆は超肉食のチャラ男で、女の子をいつもはべらかしてるイメージのままだ。
 高校時代に噂があった彼女(実際は彼女でも何でもなかったのかもしれないけれど)たちは、目がくりくりっとした小柄なタイプ。

 サバサバとしていて、ちょっぴりミステリアスな雰囲気の千奈とは正反対。

 今だから分かる。
 隆なりに、千奈の気を惹きたいゆえの、女の子の接し方だったのかな?と。

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