『Special Edition③』
夕食は18時ということもあり、私たちは小休止してお風呂に入ることにした。
片道6時間にも及ぶ運転をして来た峻は、さすがに疲れたようで、湯に浸かると『ハァ~』と盛大な声を漏らした。
「ママ、みて~!スカイバッチ!」
「フフッ、ホントだ。忍もスカイレンジャーの一員なのね」
「ぼくはね~しろがすきだらか、しろいろのたいいんになる!」
「白かぁ、じゃあ、決めポーズと必殺技も考えないとね~」
忍の髪の毛を洗っていると、ぽたりと落ちた泡を胸元につけ、変身用のスカイバッチに見立てた忍。
脳内がスカイレンジャーで埋め尽くされていて、最近の会話はスカイレンジャー一色。
それがほのぼのしていて、私たち夫婦は癒されている。
つぐみはバスタオルを体に巻いた状態で忍の髪を洗いあげ、自宅から持参したボディタオルにボディソープをつけ、忍に手渡す。
自分で洗えるところは洗わせているのだ。
峻は先に髪と体を洗い、既に湯に浸かっている。
洗い終わった忍を湯船の中で待っている最中。
浴槽の縁に両手を広げるように乗せている峻。
天井を仰ぐように目を瞑っている。
つぐみはチラチラと峻に視線を向けながら、体に巻き付けているバスタオルをそっと外した。
「ママ、ぼくがあらってあげるね~」
「えっ?あっ、だ、大丈夫っ。ママ自分で洗えるから」
「いつもぼくがあらってあげてるじゃん」
「っっ~~」
忍の声に反応するように、峻の瞼が持ち上がり、バチっと視線が交わった。
峻が出張の時とか、帰りが遅い時は私が忍をお風呂に入れいてるけれど……。
今、それを言う時じゃないんだってばっ!
「へぇ~いいな、忍は。ママとお風呂に入れて」
「ママのね~おむねはとってもやわらかいんだよ~」
忍の言葉で、峻の片眉がぴくっと反応した。