『Special Edition③』


「仕事?」
「いえ、隆の結婚祝いの品を千奈と幾つかピックアップしたんですけど、もう少し捻りが欲しいなぁと思って探してるんです」

 先に入浴を済ませた茜は、ノートパソコンで検索していた。

 数日前に隆から結婚式の招待状が来たことは伝えてある。
 だから一緒に考えて貰おうと、ノートパソコンの画面を彼にも見えるように角度を変えた。

「あっ、そうだ!」

 突然声を張り上げたため、白杜がビクッと肩を揺らした。

「急に大きな声出してごめんなさい」
「いや、いいけど。で、何を思い出しんだ?」

 ベッドサイドに腰掛けている茜の隣りに白杜が静かに腰を下ろす。
 僅かに右側に体が傾き、右肩に彼の体温を感じる。

「千奈に赤ちゃんができました」
「おぉぉ~っ」
「しかも、双子ちゃんなんですって」
「双子かぁ」

 白杜さんの親友の祥平(しょうへい)さんのところは、今年の5月に女の子が産まれた。
 他にも職場の子とか、短大時代の友人とか。
 今年は何かとお祝い事が重なっている。

「それも、お姑さんとレディースドックを受けに行って、発覚したんですって」
「レディースドック?」
「婦人科系の病気を予防するための検査です」
「あぁ、乳がん検診とか子宮がん検診とかか」
「はい」

 秋名家の溺愛ぶりは何度も話しているから、会ったことがなくても何となく予想がつくみたい。
 特段に驚いてる感じはない。

「俺らも受けるか?」
「え?」
「ブライダルチェックってのをやっとけば良かったんだろうけど」
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