記憶をなくした海
これを言うのは、少し勇気が要ったが、
「私たち、独身の間は、オープンリレーションシップで居ない?結婚するまでの期間限定で」
そう告げると、諒はよくわからない様子だ。
「どういう意味?」
「本命として付き合いながら、お互いに他の人とも関係を持つ、ってこと」
再度、彼の横顔を見遣ると、複雑な表情をしている。
「何でそんなこと…?」
「結婚してから他の人と関係持ったら、それはもう法的にもアウトでしょう?不倫だなんだってことだけは避けたいの」
「そんなの、不倫しなければいいだけの話じゃないか?」
「勿論そうだけど、現実はそんなうまくいかないと思うのよね…」
私の両親は、昔からかなりの不仲である。
世間体を気にして離婚はしないが、父には常に他の女性が居たので、母は父を心底憎み、角突き合わせながら一緒に暮らすという、何とも不毛な結婚生活を何十年も続けている。
「私たち、独身の間は、オープンリレーションシップで居ない?結婚するまでの期間限定で」
そう告げると、諒はよくわからない様子だ。
「どういう意味?」
「本命として付き合いながら、お互いに他の人とも関係を持つ、ってこと」
再度、彼の横顔を見遣ると、複雑な表情をしている。
「何でそんなこと…?」
「結婚してから他の人と関係持ったら、それはもう法的にもアウトでしょう?不倫だなんだってことだけは避けたいの」
「そんなの、不倫しなければいいだけの話じゃないか?」
「勿論そうだけど、現実はそんなうまくいかないと思うのよね…」
私の両親は、昔からかなりの不仲である。
世間体を気にして離婚はしないが、父には常に他の女性が居たので、母は父を心底憎み、角突き合わせながら一緒に暮らすという、何とも不毛な結婚生活を何十年も続けている。